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堕落ディザイアー

皆で堕ちれば恐くない

背景のある音楽 mol-74

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最近話題を集めてるバンド、mol-74です。元々知る人ぞ知る的なバンドだったのがここ最近のハイペースなMV公開で俄然注目されてるように見えます。「もるかる まいなす ななじゅうよん」と読むそうです。「かる」の部分がどこなのか未だに解明できない。

 

聴き入るハイトーンボイスが何よりの特徴です。最近流行の少年らしいボーカルとはまた違った、透き通って溢れる流水のようなファルセットです。綺麗な歌声です。ひたすら綺麗。

 

バンドとしてもそのボーカルを主軸に据えて曲作りがされてるみたいですね。徹底したシンプルなサウンドで、音の派手さではなく緻密に構成された曲展開で盛り上がりを作っています。とんでもないバランス感覚だと思います。

 

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彼らのキャリアの前半で公開されてる曲はどこかひんやりした世界観が共通してるように見えます。「北欧っぽい」と時々言われていたのを目にしましたが、まさにそんな感じ。ジャンル的に北欧っていうよりは空気感がそう。空が白んできた秋の早朝の冷たい空気に触れてるような音楽です。

 

そしてMVで描かれる風景がとにかくその曲とぴったりマッチしてます。以前読んだインタビュー記事でボーカル武市さんが曲から思い浮かべられる景色や時間・温度などのイメージにかなりこだわりを持っている、という話をされてました。どの曲もその後ろにはそれぞれの風景が浮かんでいます。

 

期待の新鋭・mol-74が語る「音楽のファストフード化は悲しい」 - インタビュー : CINRA.NET

 

 

 

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ここ最近公開された曲は以前とはまた違ったイメージ・色が見えます。透き通る淡い青色の風景に、赤みが差してきたような感じです。そしてその背景に明確なイメージが見えることは共通して徹底されてます。

 

歌声やシンプルな音色の構成などサウンド面の聴き所もさることながら、メロディのキャッチーさも一貫して魅力的な要素の一つです。どの曲も歌メロが記憶に残ります。楽器との調和も完璧で一切の無駄なく洗練された完成度だと思います。

 

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最新の曲になるにつれてキャッチーさが増してると思います。武市さん本人もインタビューで音楽性の変化について語ってました。「大衆受けを狙い始めた」「売れ線に走った」とかのネガティブな変化では決してなく、揺るがない「mol-74」という個性の中で新しい色を見せてくれてるんだなあ、と感じてます。

 

 

 

そんなmol-74の新しいミニアルバムがもうすぐ発売です。 予約できるそうです。

 

これまでに4枚の音源を全国流通してます。これはひんやりした音楽性が特徴的だった頃のミニアルバム。 

 

インディーズながら結構な注目度を集めてるみたいだし、この音楽性を保ちながらもっと有名になってほしいです。 

深く作り込まれた世界観に惚れる映画です 『BLAME!』 感想

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2017年公開のSFアニメ映画です。テレビで紹介されてるのを見てなんとなく気になってたら、なんと劇場公開とNetflix同時公開だそうで勢いでNetflixで観てしまいました。

 

超巨大な機械都市を造ってそこで暮らすようになった人類。元々全ての人間が都市の中枢機能にアクセスして管理する力を遺伝子レベルで持っていたが、ある時からその遺伝子が原因不明の「感染」により次々に人間の中から失われていく。遂には遺伝子を持つ人間はいなくなり、都市は人間の手を離れて暴走し始める。遺伝子を失った人類は都市から「不法居住する敵」とみなされ、管理システムによる排除に怯えながら隠れて暮らす生活を続けていた。

 

みたいなストーリーです。詳しくは触れられてませんが今よりもっと未来の、さらにその何千年も先の未来の物語みたいです。都市をコントロールできる「ネット端末遺伝子」とやらが感染で失われたのも遠い昔。人間が都市の支配者だったことなんて伝説レベルの大昔の時代の話だそうです。

 

 

 

この映画の見所は、「作り込まれた世界観」とそれを再現する「映像美」に終始しています。

 

ハイテク都市を舞台にした未来のお話ですが、どちらかというと「文明崩壊後の世界」を描く終末SFものに近いです。人間も天敵(人間を排除する「セーフガード」と呼ばれる人形ロボット)に怯えながら食料や燃料を探して走り回るその日暮らし原始時代に近い生活を送ってます。その場所が「自然に囲まれた世界」か「機械に囲まれた世界」かの違いだけです。

 

身体能力が上がって衝撃にも強くなるパワードスーツのようなものを着て高性能なライフルを持っていたりと見た目こそ未来的な装備で行動していますが、あくまでそれは大昔の文明で作られたロストテクノロジーの残りカスを使ってるだけで新しくそれらを作る技術もありません。装備の備蓄がなくなったらそれでおしまいです。

 

僅かな安全地帯に村を作って一か月後の食料も燃料も確保できていないじり貧の生活で、「電気猟師」と言われる人々が危険なエリアに出向き、「ドロドロの管」と呼んでいる液漏れしてる燃料管で資源を調達しています。その道中は危険も多く、セーフガードに見つかって殺される者も少なくない様子。

 

「ドロドロの管」を自然の水源のようなものと考えてそれを探しまわり、燃料が流れきった管は「枯れた」といって放棄していきます。その管が機械の機能の一部でどこかからどこかへ燃料を供給していたものだという認識はありません。生まれたときから仕組みも分からない機械都市の中で暮らし、先祖からの言い伝えと経験則だけで学び、原理もろくに分からず燃料や機械を使って暮らしてます。巨大な機械世界のAIによる循環の中でその資源を齧り取りながら細々と暮らす様は、自然界の循環の中に人間が今よりもっと大きく組み込まれて生きていた大昔に似ています。

 

そんな「近未来的な機械都市の中で文明を失って原始生活を送る人類」という新しい形の終末ものとして作り込まれた世界観がすごくツボにきました。すごく良かったです。

 

 

 

そしてその世界観を目に見える形に描く映像美にも圧倒されます。メカニックの造形や都市の無機質な風景の作り込みが凄いです。

 

電気猟師たちが着ているパワードスーツは白一色で近未来装備的な雰囲気も出しつつ武士の鎧のような風貌で、彼らを襲う人形ロボット「セーフガード」も能面のような顔を持ってからくり人形のようなカタカタした動きで迫ってきます。未来世界に日本っぽさを取り込んであるように見えました。そんな和風の空気感が漂う中で村社会や狩猟生活が描かれるからか、どことなく「もののけ姫」を連想させられます。

 

無骨で無機質で無秩序に機械が並びどこまでもその風景が続く様は、「機械都市が既に人類の手の及ばない世界になっている」ということを実感させられます。

 

 

 

そんな圧倒的な世界観と映像美が描かれる一方で、キャラクターの掘り下げや人間ドラマの点はかなりあっさりとしていました。主人公格のキャラですらそのバックグラウンドや心情は深く描かれることもなく、脇役たちに至っては正直名前も顔も判別できませんでした。特に男たちが顔似過ぎで誰が誰か分かんねえ。

 

トーリーも観終わってみればシンプルで狭い話で、結末もいわゆる「俺たちの戦いはこれからだ」エンドです。

 

多分最初から映像面に魅力を集中させるつもりで作られてるのかな、と思いました。キャラやストーリーは最低限にシンプルに……とまとめられてるように見えます。「それよりこの映像を見ろおおおお!!」みたいな気合いが映像美の中に見てとれます。

 

設定や雰囲気重視で作品を観ても楽しめるSF映画・アニメファンにはたまらない映画になってると思います。SF設定厨のツボを気持ちよく的確に押してくれる作品です。

 

 

 

元々は昔連載されていた漫画の映画化だそうです。今はkindle版が無料で読めるみたい。 

 

トーリーやキャラクターについてはやっぱり全10巻の原作漫画と比べると浅く物足りない、という方もいるみたいで、物語としてはかなり淡白なのでYahoo!映画とかの評価も高いとはいえません。

 

でも僕は好きでした。SF・終末サバイバル・パワードスーツやロボットなんかの戦いものが好きな人なら映像や世界観だけで十分楽しめると思います。観て損はないです。