堕落ディザイアー

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人生は物語だ 「6才のボクが、大人になるまで。」感想

6才のボクが、大人になるまで。(字幕版)

2014年に公開されたヒューマンドラマです。そのタイトル通り6歳の少年メイソンが18歳になって家から旅立っていくまでの12年間を、実際に同じキャストで2002年から2013年まで12年間かけて撮影したというかつてない作品です。

 

大統領の移り変わり、ゲーム機やテレビ、パソコンの進化、そんな物語の背景の変化が、本当に12年もの間彼らが定期的に集まって撮影を続けていたんだと感じさせます。

 

 

 

子役から大人の俳優になるまで1つの映画作品で同じ主人公を演じ続けたエラー・コルトレーンが、かわいらしい男の子だったのに成長するにつれて決してイケメンではないどちらかというとオタッキーな青年になっていくのもリアルです。

 

そして父親役をイーサン・ホークが務めていたのが個人的に衝撃でした。僕が「アサルト13 要塞警察」や「フッテージ」「パージ」で彼を見ていたときも、その裏ではこの映画を撮影していたなんて。

 

こんな気の遠くなるような企画を立て、それを最後までやり通して公開したリチャード・リンクレイター(監督・脚本・製作)の映画製作者魂には脱帽です。もし自分が途中で死んだら代わりに映画を完成させるようイーサン・ホークに頼んでいたというから、この作品に懸けていた情熱の大きさがうかがえます。

 

 

 

ストーリーに大きな事件は何もなく、両親が離婚して姉サマンサとともにシングルマザーの母に育てられる少年メイソンの成長が淡々と描かれます。

 

母親のオリヴィアは何度か新しい男性との出会いを経験して、その度にメイソンも家族が増えたり引っ越したりしますが、結局どの関係も上手くいかずオリヴィアは独身に戻ります。

 

メイソンはそんな複雑な家庭環境もあってか繊細で芸術家志向の文化系青年へと成長し、恋をしたりお酒やマリファナを経験してみたり将来進みたい道(写真)を見つけたりしながら大人になっていきます。

 

そこに大きな変化はないものの、小さな出来事が重なって数年単位でメイソンやその家族の環境・心情が変化していきます。

 

 

 

当初はオリヴィアにも愛想を尽かされる放蕩親父だった父が、再婚して新しい奥さんとの間に家庭を持ち、クラシックカーを手放して実用的なミニバンに乗り換えるなど落ち着いた家庭人になっていく様子が一番印象的でした。

 

メイソンに起きる変化も引っ越しや家族構成の変化・友達との別れや失恋など決して珍しくはないことばかりですが、6歳のお子様だった彼が思春期らしく悩みを抱えたり母の新しい彼氏と不仲になったりと大人になっていく光景は観ているこちらまで「こんなに大きくなって…」としんみりさせられます。親の心境ってこんな感じなんでしょうか。

 

 そして、振り返れば自分にもこんな色々な経験・変化があって大人になってきたんだと思い出します。さらに、そんな人生がこの世の人全てにあると思うとなんだか凄いですね。

 

 

 

ごく普通の人生を丁寧に描くだけでこんなにもドラマになるんだと関心させられる作品でした。そんな説得力も、同じキャストが実際に歳をとりながら12年間演じ続けたからこそ生まれたものでしょう。

 

ここまで壮大な企画のもとに作られた映画はきっともう観られないでしょうね。それくらい凄い映画でした。

 

96時間は何故シリーズを重ねるごとにつまらなくなってしまったのか

96時間 (吹替版)

リーアム・ニーソン主演で、人身売買組織に誘拐された娘を救うため元CIAの父親が奮闘する様を描いたアクション映画『96時間』

 

手に汗握るスリリングなストーリーやハイクオリティなアクションが評判を呼び低予算の単発アクション映画としては異例の大ヒットを記録した本作は、一躍3作目まで続編が製作される人気シリーズとなりました。

 

しかし、続編の評判は1作目には及ばず、シリーズを重ねるごとに評価が下がる結果になってしまいます。

 

どうしてこんな結果になってしまったのか、ちょっと今さら感はありますが考察のようなことをしてみました。 ※作品のネタバレありです

 

なぜ1作目『96時間』は面白かったのか

1作目は名作アクション映画として知られていますね。yahoo!映画でも評価が4.2/5くらいあります。実際僕もめちゃめちゃ面白いと思いました。

 

どこが面白いか聞かれたら、大抵の人は「アクションンがすごかった」「主人公が超強かったのが見てて気持ちよかった」「話のテンポがよかった」といったことを言うのではないでしょうか。

 

そう、この映画の魅力は主に

1.かっこよくて分かりやすく、後味のいいアクション

2.超手際よく真相に迫っていき、強過ぎて見ていて安心感しかない主人公

3.シンプルなストーリー、観客を飽きさせないテンポのよさ

の3つに集約されます。あとはハッピーエンドで終わる後味の良さなど。

 

さすが娯楽映画のヒットメーカーであるリュック・ベンソンが脚本を務めて『トランスポーター』『アルティメット』などを撮ったピエール・モレルが監督しただけのことはあります。

 

なんといっても無駄のない完璧なアクション描写が最大の魅力でしょう。リーアム・ニーソン演じる元CIA工作員のパパが圧倒的な強さです。作中ずっとパパのターンです。

 

同時に4、5人相手だろうと瞬殺。それどころか終盤はマシンガンで武装した十数人を一網打尽です。

 

敵は女の子を拉致して売りさばくような人身売買集団だし、パパは娘を誘拐された被害者張本人だから、何人ぶっ殺されようが「まあしょうがないよね、自業自得だよね」となります。100%相手が悪い安心の勧善懲悪ストーリーです。

 

さらにちょっとしたアイデアや身の回りのものを使って素早く脱出、情報収集、警察の追跡から逃走などなど、まるでスパイ映画のようなシーンもあり。

 

娘が運ばれる足取りを追ったり派手に暴れすぎて自分が国家機関に目をつけられて追われたりと、シンプルなストーリーながら展開が次々変わって飽きさせないのも良いです。

 

奇をてらわずシンプルで上質なアクションサスペンスに仕上げられたことが本作の高評価の理由といえるでしょう。

 

言うなれば「スーパーマリオ」の流れですよね。攫われたヒロインを助けるため、主人公が次々ステージをクリアしながらボスとヒロインのもとに迫っていくって。

 

何故続編は面白くなかったのか

では何故シリーズ化して2作目、3作目と進むごとに評価が落ちていったのか。

 

理由はもう簡単で、さっき挙げた「1作目で面白かったポイント」が減ったからでしょう。

 

96時間/リベンジ (字幕版)

まず2作目『96時間 リベンジ』では、「ずっとパパのターン」じゃなくなります。ふつうに敵に捕まったりします。

 

さらに今回はドタバタ大騒ぎの現場に元奥さんと娘もいるもんだから、前作より暴れづらそうなパパ。元奥さんは敵に捕まってるし娘は娘で単独行動するしで、その2人を描くことに割く時間も増えます。いかんせんパパの登場時間は減ります。

 

そんなこんなで2作目は前作と比べるとちょっと面白さが減ったな、という印象です。それでも続編を作りづらそうな題材でなんとか1作目の雰囲気を保とうと頑張ったのは伝わってきます。

 

96時間/レクイエム エクステンデッド・エディション  (吹替版)

そして3作目の『96時間 レクイエム』。

 

うわあ、これは厳しい。

 

まずストーリーが単純な勧善懲悪ではなくなります。パパがなかなか戦わない。殴らない。撃たない。

なにせ今回は終盤まで面と向かって撃ち合い殴り合うべき敵がいません。仲直りできそうだった元奥さんが冒頭で殺されてしまって自分が罪をなすりつけられるというスタートなもんだから、パパは今回はひたすら警察に追われる身です。パパを殺人犯だと信じて疑わない正義の警官たちに反撃してぶっ殺せるわけがありません。

 

さらに話のテンポも悪くなった。観客は「いつリーアム・ニーソンは戦うんだ?」と思いながらパパの逃走劇を見せられることになります。

 

元CIAの技術を活かした華麗なテクニックもあまり見られません。警察にばれずに娘に連絡する方法が「いつも娘がコンビニで買うドリンクの、娘がとる奥の方の商品にメッセージを貼りつける」という、まるで出来の悪い推理小説のトリックみたいな手口。

 

さらには元奥さんが亡くなった時点でハッピーエンドにはなり得ないし、途中のハイウェイでのカーチェイスでは絶対一般人に犠牲者出てるしで事件が解決しても後味の悪さが残ります。

 

というか、そもそものストーリーが複雑過ぎて「96時間」のスピード感を殺しています。

 

ただ、別につまらなかったってほどではないんですよね。「妻を殺され罪を被せられた男が、残された娘を救って自分の無実を証明し、犯人に復讐する」っていうこれで単品の映画だと思えばふつうにそこそこ面白いサスペンスと思えたはずです。

 

ただ『96時間』シリーズの続編として、「最強パパがまた観れるよ!続編だよ!」と宣伝された上で観ると観客は「そうじゃないんだよなあ」となるでしょう。

 

めっちゃ美味しいラーメンを期待してたらそこそこ美味しいうどんを出されたような感じ。「いや普通に旨いけどさ、けどさあ…」って言われますよね。

 

どうすれば面白い続編になったか

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これはもう言うまでもないですね。1作目のポイントを踏まえるために、同じような流れの話にしてしまうのが一番手っ取り早かったんじゃないかと思います。

 

同じことを続けたら「マンネリ化だ」と批判される可能性もあるとは思いますが、どちらかというとこの作品で同じことをやっても「良いマンネリ」として受け取ってもらえたんではないでしょうか。

 

サザエさん』で同じような日常が繰り返されるように、『志村けんのバカ殿様』で毎回同じギャグが繰り返されるように、『96時間』では毎回リーアム・ニーソンが悪党大殺戮を繰り広げる。それもありだったのでは。というか、それくらいしか方法がなかったのでは。

 

毎度毎度娘が拉致されてたらもはやギャグになってしまいますが、それこそマリオと同じ展開ですが、そうでもしないと同じ面白さは出せなかったように思えます。

 

というか、「そもそも続編作ってシリーズ化できるような話じゃねえ」。身も蓋もないですがもうこれが結論じゃないでしょうか。

 

 

そう考えると制作陣はかなり頑張ったんじゃないでしょうか。彼らの苦労を考えると酷評するのもかわいそうかもしれませんね。

 

最後に全く関係ないけど「時間」つながりのこちらを