堕落ディザイアー

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「キノの旅」シリーズが好き

時雨沢恵一さんのライトノベルキノの旅」シリーズが好きです。全巻持っています。

 

領土を城壁で囲った大小様々な都市国家が乱立する世界を、10代の主人公キノと喋るモトラド(バイク)のエルメスが旅していく物語です。国ごとに多様な、時には異様な文化や風習や思想や価値観があって、そこで暮らす多様な人々とキノたちが出会っていきます。同じような旅人と出会うこともあったり、中には盗賊じみた輩もいて危険な目にもあったり、訪れてみるともう滅んでいる国もあったり。

 

一つの国、一人の人物、一つの出来事などにスポットを当てた短編が一巻ごとにいくつか収められている構成で、キノとエルメスやその他主要登場人物はシリーズを通して登場しますがそれ以外は各回のゲストキャラクター的な人物がメインです。一話完結のドラマやアニメみたいな構成です。

 

一話ごとに時雨沢さんの中でそれぞれテーマがあるんだろうな、と分かるストーリーが魅力です。メッセージ性が強い話だったり、ブラックジョークじみた少し笑える話だったり、時には残酷なほど皮肉が効いてる物語だったりとどれも印象に残ります。

 

個人的には、科学が進んだ国でSF的ディストピアが描かれる系の話が好きです(テレパシーの通じる薬を発明して国民皆で服用したら、愚痴や悪口まで垂れ流しになって国が崩壊しかけた、みたいな話とか)。

 

シリーズの前半は王道というか普遍的なテーマが描かれることが多いイメージでしたが、後半にいくにつれて時事的な話題をテーマにした話も多くなっていく印象です。どうみても「きのこ・たけのこ戦争」を題材にしたらしい物語も完全なギャグ回として書かれていたりします。

 

大きなクライマックスがあるわけでもなく、淡々と淡々とここまでシリーズが重ねられてきた感が強い作品です。基本的に「それぞれの国の人々や暮らしを『旅人キノ』という部外者が目撃していく」、という物語だからでしょうか。各話の登場人物も「男」「少女」「老齢の男性」みたいに、個別の名前はなくそこで偶々会話を交わした・偶然関わった他人、という描かれ方です。

 

ファンタジーのようでSFのような、そしてどこかドライな世界観・空気感は独特で癖もあるけど僕は大好きです。どなたかが「大人向けの絵本のような世界」と表現されていたのがぴったり当てはまります。

 

2000年にシリーズがスタートしてから今でも年に1冊ペースで新刊が発売されています。次の巻が出るのか今年の秋ごろかな。今から楽しみです。