堕落ディザイアー

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バイオレンス足長おじさん 『ドント・ブリーズ』感想(結末ネタバレ)

ドント・ブリーズ (字幕版)

 

2017年上半期の注目度No.1ホラーでしたね。

 

ろくでもない親の元から妹を連れて逃げようとしている女の子が逃走資金を稼ぐために2人の友だちと一緒に泥棒に入ります。侵入先に選んだのは大金を溜め込んでいるという噂の、一人暮らしをしている盲目の老人の家。簡単に終わるはずの計画でした。ところがその老人は元軍人で、しかも自分の家のことを完全に把握しているので盲目のハンデを全く感じさせず侵入者をぐんぐん追ってくるのでした。

 

 

 

音を出したら負けのデスゲーム、という期待通りの戦いを見られましたが、思ってたのとは結構テイストが違う話でした。もっと「悪友に連れてこられて盗みを働いてしまった善良な少女が残忍なバイオレンス爺に容赦なく襲われる」みたいな物語を想像していましたが、主人公のキャラ、老人のキャラがだいぶその想像を外れてきました。

 

まず老人に襲われる主人公たちに全く同情できません。そもそもこいつらは強盗なんだから(しかも3人グループのうちの一人の粗野な不良男が銃を持ち込んでる)、逆襲にあって殺されようがそれは男の正当防衛の範囲内でしょう、と思いました。確かに老人も異常な行動や思考が見られるし実はがっつり法に触れる行為を隠れてしていたんですが、それと主人公たちの強盗行為は別でしょう。

 

しかも主人公の女の子は仲間の一人(粗野な不良くん)が老人に瞬殺された後も執拗に金を奪う事にこだわります。妹を救うために意地でも金が欲しい分かりますが、人の金を盗ろうとしてるんだから逆襲に遭っても被害者面をするのはどうかと。この手のパニックスリラーで主人公ががっつり悪人、というのは珍しいです。

 

主人公の御一行も悪人、老人も悪人、◯◯されてた◯◯も悪人です。アウトレイジにも負けない登場人物総悪人の中で誰が生き残るのか、というお話です。主人公一行がここまで擁護の余地なく悪人なら全滅エンドでもおかしくないし、この手の物語の王道として敵役の老人がやられて終わってもおかしくないし、逆に結末の予想がつきませんでした。

 

 

 

ここからは物語の結末に触れます。

 

 

 

 

 

最後のオチがまさかあんないい話になるとは思いませんでした。

 

強盗仲間の二人を殺されながらもなんとか老人に逆・逆襲をかまして金とともに逃げ延びた主人公は無事に妹を連れて家を出ます。その道中、空港のTVでは例の老人宅が強盗に入られたニュースが流れていました。そこで主人公は、殺したと思っていたその老人が一命をとりとめていたことを知ります。しかし老人は警察に「2人組の強盗に襲われて自分で反撃して殺した。盗まれたものはない。」と証言していたと報道されているのでした。

 

つまり老人は主人公のことを見逃してくれていたんですね。お金まで主人公に渡したことになります。バイオレンスな正当防衛の末とはいえ、不幸な境遇の子どもである主人公とその妹に大金をあげる老人、まさに足長おじさんではないでしょうか。

 

 

 

その瞬間僕の中での老人の株は爆上がりでした。というかそもそもこの老人は元から悪人じゃなかったみたいだし。娘を殺されてその復讐に溺れてしまった不幸な犯罪者で、その上そこに強盗まで来るというむしろかわいそうな人なんじゃないかとさえ思えました。

 

見た目がおっかなくて軍人上がりだから異常に強いけど、決してシリアルキラーではありません。容赦なく黙々と人を殺しまくるような人かと思ったらそんなこともなく意外と普通に喋るし。ちゃんと人間味のある人でした。

 

 

 

そんなわけで思っていたような容赦ないスリラーではありませんが、それでも「相手が目の前にいても決して音を立ててはいけない」というルールがあることで上手く緊迫感を持続させていたし、老人の「盲目」という設定を最大限に活かして見せる豊富なアイデアには飽きませんでした。ホラー好きにおすすめできる一本であることは間違いありません。

 

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