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小じんまりしたアドベンチャー 「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」感想(ネタバレあり)

ビッグゲーム 大統領と少年ハンター(字幕版)

テロリストのミサイルでエアフォース・ワンが撃墜され、フィンランドの山岳地帯に1人取り残されたアメリカ大統領と、それを偶然見つけた地元の少年ハンターが協力してテロリストに立ち向かうサバイバル・アドベンチャーです。

 

 

 

キングコングと戦うイカレ軍人からスーパーヒーロー組織の長官、こびへつらった奴隷頭からIT大富豪テロリストまでどんな役でも演じてきた個性派俳優サミュエル・L・ジャクソンが、本作では遂にアメリカ合衆国大統領になります。

 

サミュエル演じる大統領はあまり魅力ある人柄ではないらしく、エアフォース・ワン内で靴を脱いで椅子の上に足を上げてだらける姿はとてもじゃないけどカリスマ性に溢れているとは言い難いです。支持率も下がり気味で政治家として順調とは言えない様子。

 

 

 

そんな大統領を乗せたエアフォース・ワンが北欧の上空を通過中、山岳地帯からテロリストによる襲撃を受けます。ロックオンされて地対空ミサイルをぶっ放されてしまい、機内には警報が。シークレットサービスに誘導されて大慌てで脱出ポッドで送り出される大統領。

 

エアフォース・ワン、当たり前ですがいざとなったら大統領以外は一切省みられることなく見捨てられるんですね。他の職員は総スルーです。

 

そして大統領をポッドに乗せて脱出させたら、シークレット・サービスの皆さんもスーツ姿にマシンガン装備というこの上なく飛びづらそうな格好でパラシュート担いで飛び出します。つくづく大変な仕事ですね。愛国心が強くなければできません。

 

ちなみにこのシークレットサービスの警護隊長がテロリストの内通者(というか、無能大統領への恨みからテロリストを手引きした張本人)だったので、他の隊員は開かなくされたパラシュートを担いで空に飛んでしまい全員落下して死にます。

 

 

 

そうやって1人ぼっちでフィンランドの山岳地帯に落ちてしまった大統領が、狩人の少年と出会います。

 

そこからのお話がメインになるんですが、大統領と少年の2人VSテロリストと裏切り警護隊長合わせて6人ほど、というとても小じんまりした戦いがくり広げられます。しかもテロリストのうち2人は警護隊長に口答えして瞬殺、のこり2人は空気なので、実質2対2くらいの存在感での戦いです。

 

大統領という大物が狩られるから「ビッグゲーム」というタイトルのようですが、映画としてはどう見てもリトルゲームな仕上がりです。

 

しかも展開はまとめてしまえば、

大統領と少年が出会う→次の朝平野でテロリストたちと出くわす→少年は追い払われ大統領は箱詰めされヘリで連れ去られる→その箱に飛び乗った少年が大統領を逃がす→追撃から逃げて飛行機の墜落現場へ→大爆発で解決

というシンプルきわまりないもの。

 

大統領と少年はちょこちょこ喋りながら一晩共に過ごしただけ。絡みが少な過ぎてあまり感情移入できないまま終わってしまった感が強いストーリーでした。しかも大統領はクライマックスにちょっと機転を利かせた場面以外ではマジであんまり大したことない人で、一方的に少年ハンターに何から何まで助けてもらった身です。

 

指導者として別に成長したようにも見えないし、こりゃあ生還できたところで次の暗殺の手が迫るか支持率低迷で選挙に負ける未来しかないでしょう。

 

 

 

その一方で、少年ハンターは勇気を出してよく頑張りました。狩人として一人前になるために一晩山に籠り、獲物をとってくる儀式に臨む少年ハンター。その最中に空から大統領と巨大ジェット機が降ってくるわけですが、妙に偉そうなスーツ姿のおっさんでも見捨てることなく仕方なく助けてくれます。

 

子供だからとテロリストに追い払われた時点で逃げ出して忘れてしまってもよかったのに、ヘリから吊るされた荷物(大統領を閉じ込めた冷凍庫)に崖ジャンプで飛び乗るという危険を冒して彼を救い出します。

 

そして、最終的に敵ボスの警護隊長にとどめを刺すのも少年ハンターでした。警護隊長の胸に当たっただけで傷ひとつ負わせられなかったかに見えた彼の弓矢が、昔の負傷で隊長の心臓近くに残っていた銃弾片を動かしてそいつの心臓を止めるに至ります。

 

このシーン、警護隊長が「俺はあのバカ大統領をかばったせいで今も心臓近くに銃弾の破片が残ってるんだ!」みたいな自分語りをしたのを聞き逃したらさっぱり分からないですね。

 

 

 

映像に安っぽいところはなく、むしろ飛行機の墜落とか最後の爆発とかは相当にこだわって描写されています。そんな迫力の見せ場もある一方で、話の規模が微妙過ぎてアクションアドベンチャー映画としてはスケールが物足りなく思えました。

 

もともとが低予算映画のようですが、興行収入は少ない制作費の更に半分程度でどう見ても赤字作品ですね。評価もかなり厳しめの様子。確かに、これを映画館で観たいかと聞かれたら僕はノーです。

 

とはいえ90分ほどの短い尺で安っぽさもなくそれなりに楽しめる、DVDや配信サービスで家でのんびり観るには十分すぎる完成度の作品です。アドベンチャー映画やサミュエル・L・ジャクソンが好きな人なら観て損はないでしょう。