堕落ディザイアー

家でだらだら映画を観ながらスナック菓子片手にお届けする映画ブログ

B級サメ映画の秀作 『パニック・マーケット』感想(ネタバレあり)

パニック・マーケット(字幕版)

 

CGは今となってはごくごく一般的な映像技術です。とりわけアクション映画にはもはやなくてはならない表現技法で、現実にはないものを画面の中に付け加えて、アクションシーンに非現実的なインパクトや迫力を生み出してくれます。

 

CG技術も昔より進歩してより安価に利用できるようにはなってきましたが、それでもお金のかかった大作と予算のない映画ではCG映像のリアルさ・完成度に大きな差が出てしまいます。映像がチープか否かが「ちゃんとした映画/B級映画」の境目の基準として挙げられることも少なくありません。

 

そういう判断基準を用いると、この「パニック・マーケット」は間違いなくB級映画の部類に入るでしょう。登場するサメはところどころCG丸出し、パニックシーンでの雑なCGの津波、サメと人間の絡みは不自然さ全開です。

 

 

 

ストーリーはシンプルで、港町に津波が押し寄せて町は至る所で浸水、町のスーパーも水浸しになった上に入口が瓦礫やら何やらで埋まって脱出不可能になってしまう、というサバイバル劇です。

 

スーパー内で生き残った人々は商品棚の上に上って脱出の方法を練りますが、海水と一緒に入店してきたホオジロザメが彼らの前に立ちはだかります。また、それと合わせてスーパーの地下駐車場で生き残った数人のサバイバルも描かれます。

 

 

 

CGが雑なだけでなくストーリーも大概な内容で、強盗と警官、万引き少女(警官の娘)、主人公の青年、主人公と因縁を抱えた元カノ、とやたら複雑な人間模様が田舎のスーパーに固まります。しかも、津波の生存者は都合よくメインキャラばっかり。

 

そんな小さな地震でそんなでかい津波が来るわけないだろとか、水中に沈んでも車内が一滴も濡れないほど車が密閉構造なわけないだろとか突っ込みどころは盛りだくさん。クライマックスの爆発シーンも何をどうして爆発させたのかよく分かりません。

 

 

 

そんな粗ばかりの映画ですが、この作品の作りはそれで正しいと断言できます。それは、この映画がどう考えても最初から「B級映画」として作られているからです。

 

ネットのレビューなどでも大概評価が低いこの作品ですが、「ストーリーが雑」「映像がショボい」とこいつに言っても仕方ないでしょう。

 

例えるなら、ツンデレ喫茶とかに行って店員の女の子に「早く座って注文すれば?」みたいに店のイメージに合わせた接客をされ、「なんだこの店の店員の態度は!!」みたいに怒りだすのと同じではないでしょうか。

 

 

 

大雑把な映像やろくに活用されないストーリー上の設定など、ざっくりした完成度が生み出す独特の「ゆるさ」も含めて楽しむべき映画です。あまり熱を入れて真剣に観るべき作品ではなく、暇つぶしにボーっと観るのに向いてるのではないでしょうか。

 

だってスーパーでサメに襲われる映画ですよ。誰がそんなの真面目に観るんですか。

 

 

 

そして例えCGのクオリティがちょっとあれでも、せいいっぱい見せ場を多く作ろうとしている意気込みは伝わります。

 

冒頭の襲撃シーン、序盤の津波が町を襲うシーン、空中までジャンプしてきて人を喰らうサメ、水中での格闘、最後の大爆発…映像のCG臭さは消せないと分かった上で、じゃあアクションシーンの動きを多くして、できるだけ派手にして、観ている人を楽しませようという製作陣の努力が垣間見えるいい映画です。

 

伝説のB級サメ映画「ディープ・ブルー」が思い出される、アホみたいな話を真剣にやってくれる最高の暇つぶし作品でした。