堕落ディザイアー

家でだらだら映画を観ながらスナック菓子片手にお届けする映画ブログ

超異色のサバイバルシミュレーションムービー 『ラスト・ワールド』感想

ラスト・ワールド(字幕版)

「インターナショナルスクールで行なわれる哲学の授業を舞台に、教師と20人の学生たちが終末のサバイバルを生き抜こうと議論する」という、文章にしてみると何のことやらな作品です。

 

サスペンス要素もミステリーっぽさもあり、ヒューマンドラマのようでもあり、ちょっとホラーっぽさもあり…しかしそんなサバイバル劇は全て、「教師と生徒たちが議論する空想の中の出来事」という映画。シミュレーション映画とでもいいましょうか。

 

 

 

「世界中で核ミサイルが落とされて、放射能がここに届くまであと数十分、近くには核シェルターがあるが、食料や水、酸素は10人分しか用意されていない」という状況設定で、誰がシェルターに入り誰が見捨てられるかが議論されます。

 

そんな彼らの議論は実際にキノコ雲を遠くに見据えながら、核シェルターの入口を前に映画として再現されます。銃が持ち出されて殺し合いになったりシェルターの中で日々静かに暮らすサバイバル描写は絵的にもなかなかよく出来ていますが、それらは全て教室内での妄想です。

 

どれだけ真剣にサバイバルをくり広げようと、誰かが殺されようと所詮は妄想の中の話。そんな作品の世界観に乗り切れない人が多かったのか、本作の評価はとんでもなく低いみたいですね。

 

 

 

個人的にはまあまあ楽しめました。どちらかというと映画というよりドキュメンタリー番組みたいな感じでしたが、そういうものだと思えばそれなりに退屈せずに観れます。

 

学生たち一人一人に「大工」「電気技師」「整形外科医」といった職業が割り振られて、それを基に「生き残る価値があるかどうか」といった議論がされていき、その後に「ゲイ」「無精子症」「エボラ出血熱に感染の恐れあり」などその人個人の設定が追加されてさらに議論が白熱していく展開は変化が多くて飽きませんでした。

 

 

 

そうやって上手く展開を作って話が進んでいく一方で、終盤のストーリーはかなり微妙でした。

 

主人公的なポジションの女の子がそれまでにない判断基準でシェルターに入る仲間を選別していきますが、それがなんというか、言ってしまえばあまりにも陳腐です。

 

それまでの理詰めで攻めるようなストーリー展開から一転して「いい話」に持っていこうとする方向転換にはちょっと説得力がなく、一気に物語がチープになってしまった感じがします。

 

最後に明かされるとある事実も、ストーリーに変化を持たせたかったのかもしれませんが正直不要だと思いました。ただただ後味の悪さが残るだけの気持ち悪いスパイスです。

 

 

 

前半のテンポのよさで良作かと期待しましたが、終盤が残念です。それまでは中々面白い異色SF映画、という印象だったので惜しいですね。

 

それでも退屈な駄作というほどではないし、おそらく唯一無二と言える不思議な映画なので、珍しい作品が観てみたい人は是非。