堕落ディザイアー

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続編はまだか 『第9地区』感想(ネタバレあり)

第9地区 (字幕版)

2010年に公開されたSF映画です。難民として地球で暮らすエイリアンたちと地元民たちの対立と、ひょんなことからその狭間で大事態に巻き込まれることになった主人公の悲劇を描きます。

 

 

 

本作が他のエイリアンものと違うのは、なんといってもエイリアンが「虐められる側」にいるという点でしょう。

 

少数の頭のいい支配階級とその他大勢の労働者階級という社会構成で巨大宇宙船で旅していたエイリアンたちですが、病気で船内の支配階級が全滅。取り残された大勢の労働者階級エイリアンは宇宙船の操縦もままならず地球に漂流してきて、流れ着いた南アフリカ共和国で難民として暮らすことになります。

 

彼らの居住区がまさにスラム街。いえ、それよりひどいです。知能が低くて自分たちの知恵で生活することもままならないのか衛生的にも文明的にも極めて劣悪な環境で暮らしています。

 

 

 

エイリアンたちは間の抜けた行動が多いからか、エビみたいな化け物チックでグロテスクな見た目なのになんだか哀れでかわいらしい存在です。

 

地元のギャングに苛められたり食料のキャットフードをぼったくりみたいな値段で買わされていたり、拾った女性ものの服を着ちゃったりと妙にコミカルで憎めません。

 

理不尽に殺されたり遊び半分に殺されたり実験で殺されたり「エイリアンを食うと強くなれる」みたいな地元民の呪術的な噂のために殺されたりととにかく虐待・虐殺される側でかわいそうなエイリアンたちの姿が印象的です。

 

だからこそ後半のクリストファーたちによる逆襲や、傭兵のボスがエイリアンたちに惨殺されるシーンではその惨さにスッキリとさせられます。エイリアンが人間を殺しまくる流れで思わずガッツポーズが出たのはこれと『アバター』くらいです。

 

 

 

主人公・ヴィカスは気の毒過ぎました。何せ、エイリアン強制退去のために来たのに変なエイリアン液を浴びて体が段々エイリアンに変化していくという災難に遭うんですから。

 

最初はエイリアンたちを馬鹿なエビ呼ばわりして迫害していたのに、突然自分が迫害される側へ。その葛藤や苦悩、動揺、色々な心の変化が伝わるとてつもない演技でした。

 

そんな迫真の演技を見せながら、主演のシャールト・コプリーは元々脚本家で偶然主演を務めることになっただけの人だというから驚きです。しかもそのセリフはほぼアドリブだとか。天才かよシャールト・コプリー

 

 

 

個人的に、ただただ続編を願ってやまない映画です。

 

クライマックスでクリストファーは変貌していくヴィカスに「3年だ……必ず戻ってくる……」と言いながら宇宙船を修理して母星に帰っていきます。あれは完全に続編のフラグだと思ったのに。ヴィカスはその後どうなっちゃったんですか。

 

全身がエイリアンに変異しちゃったままヴィカスは待ち続けています。続編で救われるのをきっと待ち続けています。ニール・ブロムカンプ監督はエリジウムやチャッピーもいいけど第10地区を早く撮ってくれ。いつか撮ってくれ。 

 

 

 

およそ30億円というこの手のSFアクションものの相場の1/2~1/3くらいの制作費ですが、低予算を感じさせないVFX、アクションのクオリティです。世界観の奥行きも見事です。

 

社会風刺も重いテーマも入っててストーリー重視で見てもSF映画として大傑作。ニール・ブロムカンプ監督がこの作品で一躍ハリウッドの人気監督の仲間入りを果たしたのもうなずける名作です。

 

だから続編を是非とも。ヴィカスを救ってやってくれ。