堕落ディザイアー

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狂気しかないのはちょっときつい 『INFINI/インフィニ』感想(少しネタバレあり)

INFINI/インフィニ (字幕版)

オーストラリア製のSFホラー映画です。

 

人体をテレポートさせて遥か遠くの星に送り込み、宇宙開拓するようになった近未来を舞台に、地球から最も遠い植民星「インフィニ」で起こる恐怖の事態を描きます。

 

資源採掘のために基地が置かれた「インフィニ」でしたが、そこの作業員や軍隊、科学者チームが狂ったように暴れだして互いに殺し合いを始めるという異常事態が発生します。更には事態収拾のために送り込まれた兵士たちもことごとく狂気に「感染」してしまい、狂ったまま帰還して地球の基地ごと破壊するという重大危機に発展していきます。

 

その基地でたった一人生き残った主人公カーマイケルと、彼を救出するために送り込まれた精鋭チームが物語のメインキャラクターになります。

 

 

 

各映画サイトでの評価がだいぶ低めだったのでかなり身構えながら観ましたが、いざ蓋を開けるとこれがなかなか緊張感のある佳作SFスリラーでした。ストーリー展開も個性的で面白かった。

 

まず序盤の勢いが良いです。だらだらとした人間ドラマを挟むこともなく、テンポよくサクサク進んで最初の大殺戮が始まります。観客を退屈させる隙なくさっさと血を見せてくれます。ちょっとテンポが良すぎて最初はけっこう集中していないと話に置いていかれます。

 

インフィニと地球では時間の進み方に差がある(地球での1分がインフィニでの24時間)んですが、最初に送られた部隊がわずか数秒(向こうでは数時間)で帰ってきたときにはもう血まみれで絶叫しながら銃を乱射するほどの狂気に取り憑かれていた展開で、そのあまりの勢いのよさに一気に期待が高まりました。

 

 

 

そうやって観る人を一気に引き込みながら物語の舞台はインフィニに移るんですが、そこからの展開はややテンションが落ちたかな。

 

救出チーム8人と生存者の主人公カーマイケル、計9人がインフィニの事態を収拾しようとするんですが、上手くいくはずもなく当然のように彼らもバタバタと狂気に取り憑かれていきます。

 

人間を狂わせる原因はアメーバのような原始的な生命体で、生き物の体に入り込んで宿主を操りながらその体組織を複製し、やがて完全にその生き物に成り代わろうとするというとんでもない奴です。

 

 

 

主人公を含む全員があっさりとそいつに寄生され、あとはもうひたすら狂気の殺し合いが始まります。皆が皆幻覚を見て幻聴を聞きながら支離滅裂な言葉を喚いて暴れます。

 

主人公までもが感染したその状況はまるでツッコミ役を失ったコントのようで、確かに吹っ切れて狂ってはいるんだけどそれがすごく面白いかというとちょっと……と思いました。

 

サイコなバトルロイヤルがくり広げられるとはいえ、あくまで人間対人間の肉弾戦なので絵面的にはちょっと地味になりがちです。確かにピリッと張りつめた緊張感やじわりと冷や汗の出るような薄気味悪さはありますが、どうしてもそれに慣れて中だるみを感じる場面もありました。

 

 

 

しかし、そこから最後の展開でまた盛り上がりを見せてくれます。寄生して人間を乗っ取ろうとする原始生命体に対して主人公カーマイケルが最後にとった対抗手段が「説教」というおそらくエイリアンものの映画で前代未聞の方法だったのがかなり面白かったです。

 

あれだけ血みどろで救いのない展開に持っていきながらまさかのハッピーエンド大団円に収めるのは凄い。こんなストーリー展開観たことない、と思わされました。

 

 

 

ひねりの利き過ぎたストーリー展開ももちろん見ものですが、暗くて無機質な異星の基地の描写、狂った人間たちの戦いなんかは「DOOM」や「ゴースト・オブ・マーズ」を連想させるなかなか凝った雰囲気で好きでした。

 

そして、脇役にルーク・ヘムズワース(「マイティ・ソー」の主演クリス・ヘムズワースや「ハンガー・ゲーム」シリーズのリアム・ヘムズワースのお兄ちゃん)が出てるのが意外でした。そういえばヘムズワース兄弟はオーストラリア出身でしたね。

 

多少B級感があったり中盤で少し中だるみしたりはするものの、この手の中堅SFスリラーが好きな人なら十分に楽しめるんじゃないかな、と思えるまずまずの良作でした。