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傑作シリーズの中に燦々と輝く汚点 『ファイナル・デッドサーキット』感想(ちょっとネタバレ)

ファイナル・デッドサーキット (字幕版)

 

ホラー映画ファンの間では有名な「ファイナル・デスティネーション/デッドコースター」シリーズの第4作目です。

 

大事故の前兆を何故か主人公が予知夢として察知し、「ここで事故が起きる!大変だ!」と騒いだことで死ぬはずだった数名が事故から生き延びる。しかし死の運命からは逃れられず、1人また1人と不自然な事故で死んでいく……という展開が繰り返されるこのシリーズ。

 

その見どころはなんといってもピタゴラスイッチのような負の連鎖でありえない事故が起き、登場人物たちがめちゃくちゃグロテスクな死を遂げていくショッキングな描写の数々です。

 

「人が悲惨な死に方をするところを見て盛り上がる」という不謹慎きわまりない映画ですが、怖いもの見たさで多くのファンがついて5作も続きました。

 

 

 

この「ファイナル・デッドサーキット」は、そんな人気シリーズの中でも頭ひとつ飛び抜けて出来が悪いです。

 

「大事故の予知夢→生き残った生存者たちが1人ずつ死んでいく」というのがシリーズお決まりの流れですが、本作ではサーキット場での大クラッシュが会場が崩壊するほどの事故へと発展し、そこで死ぬはずだった人々が主人公の予知夢によって生き延びます。

 

この映画の何が悪いって、「CG感全開のチープな死亡シーン」と「悪ノリの方向性を間違った雑な事故の展開」でしょう。

 

 

 

まずCGですが、前3作では役者の等身大模型を作って本当に叩き潰したり切り刻んだりする現物路線で質感を見せる死亡シーンが多めでした。現実にそこにある人間の形をしたものがぐちゃぐちゃに潰れて血糊がぶちまけられる様は、やたらと生々しい質感がありました。

 

それが本作では、急に「CGで描きましたよ〜」感が全開になります。飛び散る内臓、突然の爆発、冒頭の大事故、全てが合成くさいです。一気に現実味が薄れて、インパクトも痛々しさも激減しています。

 

特に冒頭の大事故シーンの迫力のなさが顕著です。この「ファイナル・デッドサーキット」以外の4作の大事故シーンはどれも凄かった。特に2作目「デッドコースター」の冒頭のハイウェイ事故のシーンはアクション映画史に残るレベルの迫力でした。

 

本当にトラックが爆発し、横転し、丸太が飛び散って車が次々にクラッシュしていくシーンはぞっとするほどのリアルさがありました。

 

それがこの映画の事故シーンはどうだ。レーシングカーのクラッシュはけっこう迫力があったものの、そこから連鎖するレース場の事故シーンの雑なこと。

 

2人同時に死ぬシーンのために不自然に並んで立ち、「CGだよ〜」と言わんばかりの爆発にノーリアクションで巻き込まれ、不自然に振ってくる瓦礫でノーリアクションで下敷きになる。もはや事故というよりコントです。

 

 

 

映像的な見どころである死亡シーンがCG感丸出しでいまいちなのに加えて、シナリオ的な見どころである「死亡までの連鎖」も雑です。

 

なんというか、「そんなことで人間が死ぬわけないだろ」という展開がもの凄く多い。

 

ファイナル・デスティネーション」シリーズの死亡シーンに共通しているのは、「普通なら有り得ない不運の積み重ねで死亡事故が起きる」という展開です。

 

1つのものが倒れてそれがまた他のものを倒し、それが倒れるのに引っかかってスイッチが入り、漏電し、爆発し、死ぬ…のような「死のピタゴラスイッチ」は確かに非現実的なものですが、その連鎖の終着点である「死」には現実味がありました。

 

尖ったパイプの先端が突き刺さったり、爆発に飲み込まれたり、重いものに叩き潰されたり。どれも「それだけのダメージが加わったらそりゃあ死ぬよね」と思えるものでした。

 

それがこの「ファイナル・デッドサーキット」はどうか。

 

歩くような速度で路上を引き摺られたからって摩擦で身体に火がつくわけないだろう。草刈り機に弾き飛ばされた石が直撃したくらいで頭に穴が開くわけないだろう。上の階のお風呂がお湯が満タンになった重みで床をぶち抜いて落ちてくるわけないだろう。

 

そんな突っ込みどころだらけです。

 

このシリーズの死亡シーンが面白いのは「有り得ないほど不運だけど、こんなことがあったら死ぬよね」という悪ノリと現実味の絶妙なバランスがとれているからです。

 

それなのに、この映画の死亡シーンは「こんなことくらいで死ぬわけないだろ」というツッコミを入れさせるものになってる。悪ノリの方向性が観客の求めたものと完全にずれているのではないでしょうか。

 

 

 

シリーズに観客が最も望んでいるポイントを間違えてただの荒唐無稽な悪ノリグロ映画にしてしまったことで、この「ファイナル・デッドサーキット」は人気シリーズの汚点になってしまっていると思います。

 

そこから5作目の「ファイナル・デッドブリッジ」ではまた盛り返しているから救いがありますが、1作目から順に見るにしてもこの4作目は飛ばしたっていいんじゃないかな、と思えます。

 

ただ、とことんアホなブラックコメディとしては良い暇つぶしにはなると思うので僕は決して嫌いではないです。このシリーズが好きな人にはおすすめできないけど。

 

「有り得ねーwww」と笑いながらゲラゲラ見るくらいが丁度いい映画です。