堕落ディザイアー

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この頃のワクワクはもう戻ってこない 『ホーム・アローン』感想

ホーム・アローン (吹替版)

世界中で愛される大ヒットコメディ。言わずとしれた不朽の名作、ファミリー映画・クリスマス映画の定番の1つです。

 

安心して観られるファミリー向け映画って難しいですよね。エログロはご法度、人が死ぬシーンも大抵アウト、教育上悪くなくておまけに大人でも子供でも楽しめるシンプルな内容じゃないといけない……等々。

 

人を選ばず面白いとされる名作でも「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だとSFなストーリーを理解できないといけないし、「ジュラシック・パーク」はふつうに人が食い殺されるし。

 

そんな中で本作は小さいお子さんがいる家庭でも安心して観れて、おまけに3歳のちびっ子から80歳のおじいちゃんおばあちゃんまで等しく笑って楽しめる数少ないパーフェクト・ファミリームービーではないでしょうか。

 

この「誰でも笑える」という難題をクリアしているのがこの映画の大きな魅力ですよね。ピタゴラスイッチ的な仕掛けで間抜けな泥棒達がコミカルにコテンパンにやられる流れは、老若男女誰でも笑えると思います。何なら全編英語で字幕を切ってしまっても、英語が分からない人でも十分楽しめるでしょう。

 

要はトムとジェリーやドリフのコントと同じですね。国境を越えられる笑いです。

 

実は冷静に見るとケビンのトラップは相当エグかったりします。素足でガラス製品を踏み割らせたら普通は足の裏が血まみれです。アイロンが顔に落ちてきたら人は死にます。死にます。人体がグチャッとならないだけでやってることは「ソウ」や「デッドコースター」シリーズと大差ないのではないでしょうか。

 

それでもコミカルな演出と流血しない描写のおかげで面白おかしいコントに仕上がっています。それこそトムとジェリーの世界ですね。ジェリーもトムを斧で真っ二つとかにしてますよね。

 

コミカルにドタバタ劇を表現するには、現実で見るとやりすぎくらいが丁度いいんでしょう。

 

 

 

そして何より映画を支えるストーリーとキャラクター、演出があってこそ本作は名作として25年間も親しまれているんでしょう。クリスマスムービーとして今なお地上波での放送に選ばれる理由もここにあるのではないでしょうか。

 

主役の少年ケビンも、ただ並外れた頭脳と度胸を持っているだけだったらそれだけの非現実的なキャラクターに終わっていたでしょう。でもサンタの存在を信じていたり、最初は自由を楽しんでいても段々と家族を恋しく思ったりと子どもらしい一面も残しています。

 

そんな人間味溢れる存在だからこそ、同世代の子供たちはスムーズに感情移入し、彼より年上の世代はこんな子供時代があったと懐かしみ、皆がケビンというキャラクターに魅力を感じて応援するのではないでしょうか。

 

 

 

そして映画全体に流れるクリスマスのなんともいえないワクワク感・お祭りムード。朝起きて枕元を見るあのドキドキをそのまま詰め込んだような映画です。泥棒との戦いという冒険もクリスマスの非日常的な高揚感をより高めてくれます。

 

子どもは純粋に映画から溢れるワクワク感を受け取り、僕のようにもう少年とは言えない年になると子供のころのクリスマスの特別な空気を思い出して懐かしめます。子供時代のあの無敵感を思い出して、楽しいことが溢れていたあの頃に戻りたいと思わされてしまいます。

 

できれば苦労の多い大人にはなりたくありませんが、きっともう子どもの頃の純粋な気持ちには一生戻れません。それにもし大人になることを拒んだら、成れの果てはあの泥棒たちです。

 

子どもにはもう戻れないからこそ、時々、つかの間の休息として子供時代の懐かしい気持ちを思い出させてくれる本作のような映画は大事です。『ホーム・アローン』はそんな、懐かしい頃にちょっとだけ戻らせてくれる映画です。