堕落ディザイアー

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戦闘シーンの凄まじさが脳裏に残る 『ハクソー・リッジ』感想

ハクソー・リッジ(字幕版)

第二次世界大戦を舞台に、銃を持たずに戦場に出た実在の兵士の話を映画化した戦争映画です。「衛生兵」が主役という、戦争映画としてはちょっと珍しい作品になってます。

 

宗教上の理由や過去のある出来事をきっかけに頑なに人を傷つけることを拒む主人公の青年デズモンド。開戦したことで自分も他の青年たちのように国に尽くそうと志願しますが、訓練では「自分は銃は持てない」とライフル訓練を徹底して拒否します。

 

海外には「良心的兵役拒否者」という立場があるらしく、宗教上の理由などで兵役を拒否して代わりに軍事工場で働くなどの奉仕をする制度があるそうです。主人公デズモンドもこの立場にあり、武器を持たず衛生兵として訓練を受けるために一応は軍に残ることを許されます。

 

しかし武器を持たない彼への周りの対応は凄まじく、暴力と侮辱が続きます。それでも自分の信念を曲げないデズモンドを周りは馬鹿にすることこそなくなりますが、彼を認めるからこそ「武器を持たないなんて自殺行為だ」と諭して軍をやめさせようとします。

 

それでも「誰かを救うために戦場に行く」と決意を曲げないデズモンドが戦場で見せた活躍とは…というお話。

 

 

 

日本の宣伝では全く触れられてませんが、後半の戦場のシーンはもろに沖縄戦です。敵はがっつり日本兵です。「天皇陛下万歳~!!」と言いながら突撃してきます。字幕には出ない「敵が何やら喋ってる異国語」としてなじみ深い日本語ががっつり出てきます。

 

僕くらいの世代になると日本人が敵として出てくることにあまり動揺はしませんが、当時を知る年代の方はそこを知った上で観る方がいいかもしれません。

  

そんな日本人登場の後半の戦闘シーン、確かに凄まじいです。本物の戦場さながら。ここまで激しい戦闘シーンは個人的には今までプライベート・ライアンブラックホーク・ダウンでしか見たことありません。宣伝でも「ブレイブハートとプライベート・ライアン以来最も激しい」と言われてたみたいですが確かにその通りです。

 

監督がメル・ギブソンということで、わりと血みどろな映画を多く撮ってるイメージなので納得ですね。腕は吹き飛び足はちぎれ上半身と下半身が別々のところに行ってしまう人続出です。

 

 

 

主人公はアンドリュー・ガーフィールド。「アメイジングスパイダーマン」の主人公として有名な人ですね。個人的になんとな~く笑顔が受けつけないちょっと苦手な俳優だったんですが、この映画で大きく印象が変わりました。役柄の好印象もあると思いますが、がっつりシリアスな演技もこなせる実力派ですね。

 

そして主人公の上官たちがまたよかった。まず新兵たちをしごく軍曹としてヴィンス・ボーンが出てましたが、ベン・スティラーと一緒にコメディ映画に出てるイメージしかなかったのに本作では泣く子も黙る鬼軍曹っぷりが板についてました。

 

彼らの指揮官・クローヴァー大尉として登場するサム・ワーシントンもよかった。「アバター」や「タイタンの戦い」シリーズでの無鉄砲な若者キャラのイメージがありましたが、落ち着いたおじさんポジションをやれる貫禄がついてました。

 

 

 

「武器を持たない兵士」という異色中の異色の存在であるデズモンドが戦場で見せる活躍は、宣伝に違わず感動的で心を動かされました。「負傷者の救助」という功績で名誉勲章(米軍最高の名誉なんだとか)を受賞したのも納得です。

 

最初はデズモンドを馬鹿にしていたクローヴァー大尉が最後には彼に敬意を見せてくれたシーンは「漢(おとこ)!」って感じで最高にグッときました。

 

実在の人物を主人公にしたノンフィクション映画としても戦場の残酷さを教えてくれるド派手な戦争映画としても印象的な作品でした。戦争映画の新しい名作として名前が残る作品になるんじゃないでしょうか。