堕落ディザイアー

ずっと家でゴロゴロしながら映画を観ていたい

小粒だけど良作なお年寄りコメディ 『ジーサンズ はじめての強盗』感想

ジーサンズ はじめての強盗(吹替版)

「退職した会社から年金支給の打ち切りを告げられ、さらに銀行から理不尽な金利を上乗せされた老人たちが『自分たちの年金を取り戻す』という決意のもと銀行強盗に臨む」というお話です。

 

実は1979年に公開された映画のリメイクなんだとか。展開や雰囲気はコメディ調ですが、主人公たちが強盗に至る背景や彼らの貧乏暮らしの様子などは意外と切実で真面目なテーマがあります。

 

強盗の練習がてら臨んだ万引きのシーンなんかは、「少子高齢化格差社会の先にはこんな泥棒老人が増えるのかもしれない」と思わせられました。

 

 

 

そんな社会風刺みたいな一面も見られるこの映画ですが、全体的には王道の純粋なコメディです。ごく普通の善良な年金生活者だった主人公たちが不慣れな悪事に臨む様子や強盗シーンでの老人ならではのハプニング、お年寄り仲間や家族との平和な日常はどれも笑えます。

 

「超アホな展開で大爆笑!」というよりは、「フフッ」と小さな笑いが出るジョークが細かく仕込まれてるタイプのコメディでした。特に主人公やそのお友達が見せる老人ジョークは、ちょっと自虐的でブラックながら笑ってしまいます。アリバイに友達の認知症を利用する強盗計画なんて誰が予想できるでしょうか。

 

「銀行強盗」というギルティな題材ながら内容は典型的なホームコメディそのもので、孫との交流やお年寄りになってから芽生えた新しい恋、病気との戦いのような王道の人間ドラマがくり広げられます。最後には笑いあり感動ありのハッピーエンドが待っていて、ほっこり明るい気持ちになれました。

 

 

 

強盗を決意する主人公にマイケル・ケイン、彼と一緒に強盗に臨む友達にモーガン・フリーマンアラン・アーキンと、出演が豪華すぎるのも見どころ。全員アカデミー賞助演男優賞受賞経験者です。そんな超名優が揃ってこのほのぼのコメディをくり広げます。

 

さらに、主人公たちの遊び仲間で認知症気味の老人ミルトンがやたらと見覚えがあると思ったらクリストファー・ロイドでした。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドク役といえば分かる人も多いでしょうか。30年くらい前に老人役をやってたのにまだ老人役をやってて面白いです。

 

他の登場人物ももちろんですが、モーガン・フリーマンの存在感や演技の幅の広さはやっぱり惚れ惚れします。雰囲気たっぷりの重要人物的なカリスマを見せるときもありながら、こういう小規模なコメディで「善い人だけど一筋縄ではいかないお爺ちゃん」を演じさせたら右に出るものはいませんね。

 

そんなモーガン・フリーマンが出てるからか、「ラストベガス」を連想しました。誰も不幸にならないハッピーな傑作お年寄りコメディでしたが、この『ジーサンズ』も負けず劣らずハッピーで笑える良作だと思います。

ラストベガス(吹替版)
 

 

ほどよく笑えるシーンが続く中でひっそり刺さる社会風刺もあったりして、思ってたのとは少し違うベクトルだけど面白い映画でした。ストーリー展開はこじんまりした話ですが、王道のアメリカン・コメディドラマとして笑って感動できました。

 

あったかくて明るい映画が見たい人にはおすすめの良作お年寄りコメディです。