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プロペラ機のレトロな空中戦が魅力 『フライボーイズ』感想

フライボーイズ(字幕版)

戦争映画ではちょっと珍しい第一次世界大戦ものの作品です。多くのアメリカの戦争映画って第二次世界大戦南北戦争、それか近年の紛争介入がテーマになってる中で、本作では複葉機での戦闘がメインだった第一次世界大戦の空戦というマニアックな題材が使われています。 

 

ストーリーは、「軍に志願した青年が恋を経験したり仲間の死を通して葛藤や成長をしていく」というわりとベタな内容です。第一次世界大戦にまだアメリカが参戦していない中で、アメリカで居場所を失った主人公の若者が逃げるように渡ったフランスで外人部隊に志願していくところから物語は始まります。

 

主演はジェームズ・フランコ。旧『スパイダーマン』3部作で主人公の幼なじみを演じた人です。最近では『猿の惑星:創世記』とかでも顔が知られてるんじゃないでしょうか。スパイダーマンの時は「なんかこいつ笑顔は爽やかだけど裏で絶対いじめのボスとかやってそうななんか嫌そうな奴だなあ~」と思ってましたが本作ではちゃんと爽やかやんちゃボーイズみたいな雰囲気が出てました。

 

他の有名キャストとしては、隊の指導官セノール大尉をあのジャン・レノ様が演じています。そういえばこの人はフランス人ですね。最近は日本ではすっかり実写版ドラえもんとして有名ですが、本作でもドラえもんみたいな色の軍服を着て、飛行機なんて未経験なお子様の新兵たちを優しく厳しく育て、見守ります。

 

 

 

そんな本作、評判も興行収入もかな~り微妙なレベルでした。総製作費70億円の3分の1も回収できなかった上に、批評的にも良い結果とはいえなかったみたいです。

 

時期的に出会ってるはずのない種類の機体同士が戦っていたりエンジンが回転していなかったりと考証の面でもかなりアレな出来だったようで、その評価は真珠湾攻撃シーンにイージス艦が映っちゃってる伝説のテキトー戦争風バカアクション映画『パール・ハーバー』といい勝負みたいです。

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ストーリー的にも「戦争の悲惨さを伝える」とかいう感じは全くなく、むしろ墜落しかけのボロボロ状態の機体を敵の飛行船めがけてカミカゼアタックさせたりと、わりとヒロイックな描写が多めです。日本でも『永遠の0』なんかはかなり賛否両論あったけど新選組の散り様とかがかっこいいものとして描写されるし、100年くらいたつと戦争が映画の題材に使われる時も「歴史映画」みたいな扱いに変わって描写も自由になってくるんでしょうか?

 

 

 

どちらかというと歴史青春ドラマって感じで、実際にWW1の頃の空戦は騎士道精神を持って1対1の戦いを重んじるような風潮も見られたそうで、ある意味「殲滅こそ正義」みたいな現代戦よりは武士の戦いみたいな雰囲気も残ってたんでしょう。映画にもそんなプライドや流儀のようなものが漂っていて、戦争映画でおなじみの重々しい悲惨な空気はあまり感じませんでした。

 

真剣勝負の中で相手の銃の故障による隙は見逃してやるとか、長年同じ空域で戦ってきたエース同士についに決着がついて、最後に勝った側と負けて死にかけの側が挨拶のように視線を交わしたり。「騎士道」を感じさせるシーンも多く、思わずぐっときます。

 

 

 

戦争映画としてはちょっとアレな出来ですが、時代劇を見てるような雰囲気がある映画でした。そして、なんといっても本作の価値はWW1当時の空中戦が金のかかった映像で再現されているアクションシーンに尽きます。CGの質感に若干もっさりした感じが見られるものの、クラシックな複葉機が入り乱れて戦う様は美しさと迫力が混ざった良さがあります。

 

爆撃機として飛行船が持ち出されているのもこの時代ならではで、空母のごとき圧倒的デカさで存在感を出す大型飛行船と護衛機、それを攻めるラファイエット戦闘機隊のバトルシーンは本作一番の見せ場でしょう。アクション映画好きならこの場面のために観る価値あります。多少撃たれたくらいじゃびくともしない飛行船のインパクトがすげえです。

 

 

 

というわけで『フライボーイズ』は、見応えたっぷりの戦闘パートとつまらなくはないけどすごく印象に残るとかもない毒にも薬にもならないドラマパートで構成される映画でした。レンタルDVD店で見つけるまで全く存在を知らなかったけど、思わぬ当たり、と思えるくらいには楽しめました。

フライボーイズ(字幕版)